モッコウばらのアーチをくぐって

日常のささやかな出来事を綴ります。

耳の穴に。。

先週の木曜日のことですが。。。

ちょっとおかしな話がありました。



夕方、仕事場から家路を急いでいる私に

60代後半ぐらいのおじさんが、「ちょっとすいませんが綿棒か何かもってませんか?」と

話しかけてきました。

・…こんな所で何のために???

でも、ポーチの中に綿棒2本入っていたので、さし上げようとすると

「耳にパチンコの玉が入っているような気がして…みてくれませんか?」

???パチンコの玉が?耳に??・・・

一瞬、おかしな人かと思いましたが、あまりに真剣なので

・・・そして少し興味もあって・・・半信半疑でしたが

おじさんの耳を明るいほうに向けてのぞいてみました。



「キャー!あるある!パチンコ玉が光ってる!」と声をあげてしまいました。

次の瞬間、笑ってはいけないと思いつつ、大笑いしてしまったんです。。

おじさん、だから言ったでしょ。。みたいな表情になって「そないに笑わんでも・・・」


「耳にパチンコ玉をひとつ入れてパチンコしていたのを忘れてたんだけど

とった記憶がないから、耳を振ってみたけど出てこないし。。。まだ入ってるかなあと思って。。」


おじさん「その綿棒でとってくださいませんか?」

私「無理ですよ!奥にはいっちゃったらどうするんですか・・」

おじさん「そんな、冷たいこと言わずに!」

私「耳鼻科に行ってとってもらってくだい!」

おじさん「木曜の午後はどこもやってないんですよ、ちょっととってみて。。」

綿棒よりピンのほうがいいかなあ。。と1回だけトライしてみましたが

パチンコ玉の表面はつるつるしていて、丸くて。。ピンの先がつるっと滑るだけで

素人には取れそうにないと判断しました。


そして私思いつきました。

家の近所に、すごく高齢のおじいさん先生のやっている耳鼻科があることを!

自宅でされているので、診療所がしまっていても電話で事情を話せば、もしかしたら診てくれるかも。。と


電話してみると、おじいさん先生の奥さんが出てこられて

「パチンコ玉が耳に?」ってちょっと笑われてから、「見させていただきますよ」と。


おじさんに地図をかいて渡しました。

おじさん「恩にきます!ありがとう」と風のように去って行かれました。



おじさんのパチンコ玉は取れたのでしょうか。。。

今度おじいさん先生に出会ったら聞いてみよう。。。


今でも、おじさんの耳の穴深く銀色に鈍く光っていたパチンコ玉が脳裏に焼き付いています。